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HowToProceed
MicroED は発展途上の手法であり、測定や解析も、試料ごとに工夫して行っています。 そのため、装置を貸すだけの放射光ビームラインとは違い、共同研究の形で進めさせていただいております。 MicroED で得られた構造を論文化する際は、解析担当の中根 特任准教授・電子顕微鏡が専門の川本准教授・PI の栗栖教授の 3 名を共著者としていただくようお願いします。 MicroED 測定・解析の method の執筆はこちらが担当します。
学会発表については、共著者を多数にしないのが慣例な分野の場合は共著にしなくともよいですが、謝辞に記載をお願いします。
多数の結晶からのデータ測定後、クラスタリング等の解析を行い、良質で同型性が高い結晶のデータを組み合わせて hkl ファイルを作り、位相をつけて初期モデルを得ます。 結晶学の経験がある方の場合は、この段階で ins ファイル・hkl ファイルをお渡しして、精密化は自分で行ってもらう場合が多いです。 経験がない場合は、精密化の仕上げまで行った状態で渡すことも可能ですので、希望を連絡ください。
精密化には Olex2 を使うのを推奨しています。MicroED 固有の精密化ノウハウについては、マニュアルを参照ください。
我々は open science を推進しており、プログラム開発者と連携して MicroED 解析手法を改善するため、論文発表時には、生データ(回折像)を公開データバンク XRDa にて公開しています。 この点にも同意お願いします。 MicroED を行うと、不純物や反応副産物など、予期せぬ物質が解けることがしばしばあります。 これらの構造を論文報告しない場合は、生データだけ公開し、決してお蔵入りにならないようにしてください。
また、論文は open access にするようお願いしています。 APC 費用はこちらで分担できることもありますが、捻出できない可能性が高い場合は投稿時に preprint の掲載をお願いします。
試料の安全性について確認ください。
通常の実験室で扱える程度のものなら良いですが、アスベストやプリオンペプチドなど危険性が高く、安全キャビネット中で扱う必要があるようなものは受け付けできません。 粉末を取り扱う以上どうしても舞ってしまいますし、電顕にロードする際使い捨てではない小道具を使うので、それらが汚染されると困ります。 また、こちらでは重金属を廃棄できないので、カドミウムや鉛などを含む試料は、測定後、残った試料を返送させていだきます。
PXRD や WAXS などでピークが全く立たない試料はアモルファスですので、MicroED にも不適です。 サンプル量が許す限り、事前に PXRD の確認をお願いします。 定量性は不要ですので、単結晶用ピンの先をオイルで濡らして粉末を少しつけて、単結晶回折計に載せ、高角まで、点なり弧なりリングなりが出ることを 確認できれば大丈夫です。 こうすれば、PXRD 専用機と違って、ほとんど試料を使わずに結晶性を確認できます。
測定するサンプルは完全に乾いて、さらさらの砂のような状態になっている必要があります。 粉末の入った試料瓶の中に電顕用グリッドをいれて振ることで試料を付着させますので、ある程度口が広い必要があります。 NMR 管は細すぎて不可です。 試料は、結晶サイズが適切なら、0.5 mg 程度から測定可能です。 実際にグリッドに付着させて消費する量はもっと少ないですが、量が少なすぎると操作しづらくなります。 結晶サイズが大きすぎる場合は、スパチュラをつっこんで砕いたり、スライドガラスに出して潰すなどの操作が必要となるため、数 mg が必要です。
乾かすと不安定な試料の場合は、揮発性が高い溶媒(常温の室内で数分で乾ききるようなもの。ヘキサンや THF は可。DMSO や DMF や水はダメ)に懸濁した状態で送付したものを電顕グリッド上に滴下して風乾するという手もありますが、グリッド上で結晶が流れて密集しやすく、お勧めできません。
いずれにせよ、電顕の中は超高真空ですので、乾かすと不安定な試料は結晶性を失うことがあります。 真空引きしても PXRD ピークが変化しないことを事前に確認してあると無難ですが、実験室の真空ラインよりも電顕内のほうが真空度が何桁も上なので、真空引きして PXRD パターンが変わらなかったから絶対大丈夫とは断言できません。
試料は常温・大気圧保存または、常温・真空デシケータ保存のどちらかとなります。 遮光や、冷蔵・冷凍保存も可能ですが、グリッドを作って電顕に入れるまでの 30 分間ほどは常温常圧・蛍光灯下での作業になります。
グリッド作製は、原則としてこちらで行います。 作成済みのグリッドを送付いただくことも可能ですが、輸送中の振動で粉末が落下したり隣のグリッドと混合するリスクがあり、推奨できません。 また、電子顕微鏡オートローダのクリッピングとの互換性にも不安があります。
測定は、液体窒素温度付近(約 80 K) を原則とします。 常温測定も不可能ではありませんが、装置の昇温と(実験後の)冷却に時間がかかり、他の実験に影響しますから、相当強い理由がなければ引き受けられません。
MicroED は、電子レンズの安定性や多重散乱の影響などにより、X 線解析ほどの精度は出ません。 結合距離などに 0.01 Å 程度の誤差はありえます。 分子の骨格や結晶パッキング(集積状態)や配座を知るには十分ですが、分子ジオメトリの定量的な議論には向きません。
また、元素の識別も苦手ですので、ピリジン環のどこが窒素であるかといった異性体の区別も、NMR など他の情報と組み合わせないと確定しないことがあります。 それで実験目的が果たせるか確認ください。
資料送付前に、まず、1, 2 枚程度のスライドの PDF で、測定目的・想定される構造・PXRD パターン・結晶の顕微鏡写真(大きさが分かるもの)などを説明してください。 類縁体や前駆体などが解けている場合は、その情報や CIF ファイルもお願いします。
いただいた試料情報を元に、実験目的や結晶サイズや結晶性が MicroED に適しているか・回折像が得られる可能性が十分あるかを判断し、引き受けるかどうか回答します。
我々の使っている電子顕微鏡は主に生物系試料の単粒子解析に使われており、MicroED はだいたい 3 - 4 週間に一度、金土日の 3 日間で最大 8 試料ほどのペースで行っています。 これらの試料は、複数グループからの相乗りで行っています。 上記試料情報の提供を受けた後、有望そうな試料については次の測定予定日を連絡しますから、試料送付は、その前日昼までに必着でお願いします。
現在、MicroED 用に新しい電顕を設置中であり、2026 年度にも安定稼働しはじめたら、もっと高頻度で測定できるようになる見込みです。
測定操作は我々が行います。 電子顕微鏡は不適切な操作をすると検出器などに致命的な損傷が入る恐れがありますから、外部ユーザ単独での測定は原則として認めていません。 一つのグループから継続的に何度も測定する予定があり、一人の担当者(大学院生以上)をつけて、その人が 本気で 電顕操作を習得する意欲があるなら、独立利用を目指したトレーニングを提供する可能性もあります。 相談ください。
測定の見学は随時可能です。
測定中・あるいは翌日に、回折したか・初期構造が得られたかといった速報を行います。 その後、処理パラメータの最適化やマージする結晶の取捨選択などを工夫した本格的な解析を行います。 最終データは、多くの場合、測定から 1 週間以内に納品できますが、複雑な混合物であった場合・他のタスクが多い場合などは 2 週間以上かかることがあります。